機材のお話し3

現在僕の手元には映像製作用の業務用ビデオカメラが二台あります。
どちらもハイビジョン映像をテープに記録できるHDVタイプ。
それぞれ別々のお仕事で使っております。

一つはCanonのXH A1
このカメラは販売当初(3年ほど前)に僕が購入し愛用してきた機種です。
片手で持てる(実際に片手だけで持って撮影なんてしたら右腕が死んでしまいますが…)ことが利点であるこのクラスのビデオカメラは画質が妥協されていることが往々にしてあります。
とくにお仕事でDSR-570(いわゆる肩載せのタイプの代表)とPD-150(いわゆるハンディータイプの代表)を交互に使用していたときには、その圧倒的な画質の差に目を奪われました。
SD画質の時代であれば、このクラスのビデオカメラも性能の向上とともに高画質化されていき、肩載せタイプとの画質の開きも徐々に縮まっていったのですが、HD時代の今、その差はまた圧倒的なまでに開いてしまいました。
そこでCanonのA1です。
HDCAMなど、放送用肩載せカメラの画質とはそれなりの差がありますが、それでもHDにふさわしい高精細な画質です。
多分レンズがいいんでしょう。それ以上のことは開発者じゃないんでわかりませんw
おまけにこの高画質のまま35mm換算650mmまでと、とんでもなく寄れます。こんなに寄ったら三脚つけてても風でぐらつってくらい寄れちゃいますw
よく分からないメインダイヤルやらズームとフォーカスを同時にいじれないレンズ駆動やら、欠点を挙げればきりがないですが、それを上回る画質の魅力があり、とても気に入っている機種です。
もう一つはSONYのHVR-V1J
これは現在撮影中のVPのために貸し出されたカメラで、CanonのA1と同じ時期にSONYから販売されたものです。良くも悪くもSONYらしいカメラでSD時代のハンディータイプ業務機代表格PD-150をまんまHD対応にしたような機種です。
室内での撮影などではワイコンが必須であったり、ゲイン・シャッタースピード・ホワイトバランスなどがすべて同じダイヤルで操作しなければならない操作性の悪さなどもPD-150そっくりです。
画質もPD-150に比べたら高精細ですが、CanonのA1には及びません。
それはもともと承知していたのですが、もう一点気になることがありました。
A1に比べて圧倒的に暗いことです。
もともとHDになってから画素が増えた代わりに感度が落ち、どのメーカーのHDカメラもSD時代に比べてかなり暗くなってしまいました。
A1も、それまで愛用していたPanasonic DVX100Aより二絞り程度暗い印象でした。
ところがこのV1J、同じ時期に販売されたにもかかわらずA1よりもさらに二絞り暗いんです。
手元で試したのですが、A1で絞り開放gainゼロと同じ明るさをV1Jで再現するためにはgain12くらいまであげなければなりませんでした。
当然画はノイズでざらざら。VPの撮影でも、外光がそれなりに入る日中の屋内でさえ常にgainを上げていなければならないなど苦労しました。
でもこの2機種、カタログスペックでは1/2絞り程度しか差がないはずなんですよね。。。
このクラスのカメラの明るさを比べる項目として「最低被写体照度」っていうのがあるんですが、実はこれカメラメーカーによって条件などがばらばらなんです。
もちろん同じ環境で行われているわけでもなければ測定している人も違います。
それにしたって、スペック上は1/2絞り程度しか差がないのに実際は二絞りも差があるなんてどうかと思いますよ。。。

↑これはとある作品でHDVカメラの選定を頼まれたときに作成した資料です。「最低被写体照度」の数値は絞り開放・シャッタースピード1/60・gainゼロに統一して、ばらばらの測定条件から勝手に計算し直しました。
この資料を見返すとSONYだけがかなりあまあまな数字を出しているような気が。。。
Z1JもA1と同じ感度とは思えない代物でしたし。。。
頼みますよSONYさん。
もちろん、カタログスペックを訂正するんじゃなくて、実際の感度を上げてく方向でね。
by daido