機材のお話し2


前回の話しで、整備した三脚。せっかくなんで紹介したいと思います。

実はこの三脚、元はビデオ三脚でもなんでもないんです。
しっかりとしていて安定性抜群な中判スタジオ用プロギア三脚475Bに、水平出しに必須なボールカメラレベラー438、そしてヘッドにビデオ雲台503を組み合わせた自作三脚なんです。

全部Manfrotto社製ですが、単純に組み合わせの互換性が保障されていたからなだけで、いろんなメーカーのものを組み合わせることも可能です。(組み合わせるためにステーを自作しなきゃいけなくなることもありますが…)

なぜビデオ三脚を購入せずに自作したかというと、僕がドキュメンタリー畑のカメラマンだからです。

通常ビデオ三脚は上記の写真のように、脚をミッドレベルスプレッダーなりグランドレベルスプレッダーなりで固定し3本の開脚角度を一定に保っています。

そしてこのスプレッダーが厄介なんです。

ドキュメンタリーでの撮影では三脚を思うがままに広げることが出来ない場合が多々あります。そんなときにスプレッダーがあると開脚角度に限界が生じ、三脚をつぼませ気味に開脚することが出来なくなります。

スプレッダーの中心部をひょいと持ち上げて水平ではなく山なりにすることで三脚をつぼませることも可能ですが、そうすると今度はまったく安定を失ってしまいます。

「ドキュメンタリーなんだからそんなときは手持ちでいいじゃん」と思われるかもしれませんが、ドキュメンタリーだからこそ撮影的に厳しい場所でも三脚を使わなければ撮れない画があると僕は確信しています。

実際に鬼気迫る場面をじっくりと三脚で撮れたときに、映像から出る緊迫感を味わってしまってから、僕はもう三脚の虜なんです。


そこで中判スタジオ用プロギア三脚475Bを使うと、スプレッダーが三脚の真ん中にあるポールで固定されているので、どんなに脚をつぼませようが安定度が抜群です。
さらに、低い視点で撮りたいときもかなり広げることが可能になります。

また、真ん中にポールがあることでこの脚にはエレベーター機能がついていて、ホールなどで後方から観客の頭に遮られることなく舞台を余裕で撮影できる高さも確保できます。
これが意外と便利!

安い小型ハンディーカム用の三脚には、エレベーター機能がついているものがありますが、あれはエレベーターでヘッドを伸ばすほど安定が失われていき、一脚を使っているのと大差なくなります。
ある程度のクラスの三脚にエレベーター機能がついていないのはこのせいなんですよね。

ところがスタジオ用三脚であれば、重量もそれなりにありエレベーターでヘッドをぐいぐい伸ばしてもふらつく事はありません。

こんなスタジオ用三脚にビデオ向けのヘッドとレベラーを組み合わせれば、地上数十センチ〜数メートルまで、脚の設置面積も縦横無尽な万能三脚が出来上がります!


短所は、機材を抱えながら電車等で移動するときに重過ぎて体力を消耗し、スポーツドリンクがいくらあっても足りないことくらいです。。。

by daido